2022年7月10日
だから僕はその誘いを受けられない
本当にやりたいことがあればそうならないはず
とりあえず誘ってくる人たちの存在
それなりに色々モノをつくったりしてきたエンジニアをやっていることもあってか、
最近、色々な文脈で、アレをやりたいけど手伝ってくれないか、とか、一緒に起業しませんか、みたいなお誘いをもらったりすることがある。結構頻繁に。
声をかけていただけるのは有り難いが、結論から言うと、大変心苦しいが全部お断りしている。
ただ、それは、「忙しいしめんどくせーからそんなもん受けてらんねーよ」的なお断りではなく、誘ってくる側のやり方にあまり納得感がないことに起因している。
それなりに実績のあるエンジニアなら、あるあるなんじゃないか?と思う。
けど、たぶん、みんな、色々思うところがあってあんまり文章化されていないので、ここで「俺は動くよ!」という感じで記事にする。
どうしてそうなる?
多くの場合、そういった誘いは「こういうサービス作りたい」「こういう仕事が受けられそうなのでやってくれませんか」というところから始まっている。
まず、これがちょっとおかしい。
本来、サービスや何かを作るというのは、一番の重労働である。そこを軽く見すぎな印象を受けてしまう。それも、ゼロから作っていくとなれば、なおさら重労働である。
なぜ重労働か?単純に、時間が掛かるから。そして、サービスであれば、運用・保守まで考えて継続的に安定したサービス稼働をするためのノウハウを持ちうる限り全て注ぎ込んで作っていく必要があるし、その後にメンバーが増えたときに正しく引き継げるようなドキュメンテーション等も並行して進めていく必要があるからだ。
MVP(Minimum Viable Product)だからそんなもんはいらんだろ、という考え方には納得がいかない。もちろんガチガチに固めきったりはしないが、例えば正しくCI/CDを組み上げておくことは、MVPの開発においても間違いなく全体を通して見た場合は初期段階からそのあたりしっかり固めておかないといけない。
つまり、単純に思っているより(思考時間も含めると)時間が掛かるし、どんな時もそれが最善かふと考えてしまうような生き物であったりする。(これは皆がそうかはしらない)
しかも、ある程度実績のあるエンジニアというのは、実績があるから、普通に時給単価が高いということも認識しておくべきで、多くの場合、依頼してくる人より自分の方が時給単価が高いはず。
なのに、なぜか、マージンをとられて、よくて半々、ふつう2〜3割しかもらえない、となれば、なんでそんな仕事やポジションを受けないといけないんだ、となってもしょうがない。
個人的には、アイディアを出したり、仕事を受けてくる人が偉い、という考え方に全く納得がいっていない。結局、アイディアを最終的に形にするのはエンジニアになることが多い。
特に若いときは、実績作りも兼ねているしまあ仕方が無いか、とか思って結構根の優しさをベースに色々受けていたが、もう最近は全然受けないようにしている。色々痛い目も見た。
経験を積めば、アイディアも、何がダメで、何がイケてるかなんてだいぶ分かってくる。なのに変に自信を持っている人とかと一緒にやると、全然こっちの話を聞いてくれなかったりもする。
その人の唯一の仕事がアイディア出し、みたいな感じになってくると、そういうことが普通にある。そこで揉めても仕方が無いし、役割分担的なところは大事にしているので、基本的に「言いなり状態」で動くけど、相当なストレスが溜まるし、実際ダメだったときは、ほら、としか言いようが無い。
じゃあどういうのが適切なのか
そんなことを言ったら世の中から起業家が消えるだろ、という話になるかもしれない。
自分が言いたいのはそんなことじゃない。
本来、サービスを作りたければ、自分で勉強すればいいし、仕事を受けたなら、自分でこなすべきだ。
その上で、自分なりに形になったものを見せて貰って、どうしたらいいか一緒に考えて欲しい、と言ってもらえればそれが一番良い形だと思っている。
そこを面倒くさがっているような人と一緒にやっても何もいいことはない。
それで成功するのは、宝くじに当たるか当たらないか、みたいなモノ。
だって、やりたいことがあるなら、勝手に手が動くものだと思っているから。それがどれだけ拙かろうと、やりたいことを伝えるのは、モノそれ自体以外に何もない。
この世には、イメージすら提示せずにこれを作ってほしいとか一緒にやりたいとか平気で言ってくる人間が一杯いる。そうなってくると、自分の時間も有限であり、それなりの価値があるので話を聞く気もなかなか起きない。
それで人間を動かせるのは、よっぽどカリスマのある人間だけ。誰もがそれぞれの人生を生きていて、あなただけが主人公ではない、と言いたい。
まあ、個人的には、仮にそうあっても、今は仕事を受けたりするのは当分もうお腹いっぱい、という感じですが…
日本の今後のためにも、そんな良き起業家の誕生を祈ることしかできない。
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